介護

ヤングアダルトケアラーとは?私の経験をもとに解説!

2024年4月9日

ヤングアダルトケアラー

ヤングケアラー、若者ケアラーに加えて、新たに、ヤングアダルトケアラーという名称も知られていくようになるかもしれません。

久しぶりに、日本ケアラー連盟のヤングケアラープロジェクトのホームページを開きますと、「若者ケアラーの年齢層明確化について」と題した声明を拝見いたしました。

その声明に、ヤングアダルトケアラーについて触れられていたのです。

ヤングケアラーという名称は知っている、若者ケアラーという名称についても聞いたことはあるが、ヤングアダルトケアラーという名称は聞いたことがないという方がほとんどではないでしょうか。

そこで、当記事では、ヤングアダルトケアラーについて、私の経験ももとに、解説をしてまいります。

この記事を見てわかること

  • ヤングアダルトケアラーとヤングケアラー・若者ケアラーの違いについて
  • イギリスにおけるヤングアダルトケアラーの位置づけについて
  • ヤングアダルトケアラーの課題について

ヤングアダルトケアラーという名称は、まだまだ、知られていませんが、今後、知られていく可能性もありますので、しっかりと解説します。

ヤングアダルトケアラーとは

これまで、当サイトでは、「ヤングケアラー」と「若者ケアラー」に関する解説記事を、以下の通り、作成いたしました。

ヤングケアラー
若者ケアラー

日本ケアラー連盟のホームページには、「ヤングケアラー」と「若者ケアラー」について、それぞれ、次のように説明されていました。

ヤングケアラー

家族にケアを要する人がいる場合に、大人が担うようなケア責任を引き受け、家事や家族の世話、介護、感情面のサポートなどを行っている、18歳未満の子どものことです。ケアが必要な人は、主に、障がいや病気のある親や高齢の祖父母ですが、きょうだいや他の親族の場合もあります。

若者ケアラー

18歳~おおむね30歳代までのケアラーを想定しています。ケアの内容は子どもケアラーと同様ですが、ケア責任がより重くなることもあります。若者ケアラーには、子どもケアラーがケアを継続している場合と、18歳を越えてからケアがはじまる場合とがあります。

18歳未満のケアラーが「ヤングケアラー」、18歳~おおむね30歳代までのケアラーが「若者ケアラー」ということになっております。

そして、今回、紹介するのは、「ヤングケアラー」でもなければ、「若者ケアラー」でもありません。

ヤングアダルトケアラー」です。

「ヤングアダルトケアラー」について、初めて、聞いたという方が多いのではないでしょうか。

ヤングアダルトとは

そもそも、「ヤングアダルト」とは、どの年代を指すのでしょうか。

「ヤングアダルト」は「young adult」という英語でございますので、インターネットの英和辞典で検索してみました。

それによると、「young adult」は「若年成人、ヤングアダルト」と書かれていました(weblil 英和辞典より)。

さらに調べてみると、英語の「ヤングアダルト」=「young adult」は、概ね、10代後半を指すとのことでした。

では、ヤングアダルトケアラーは、10代後半のケアラーなのかということが気になってくるところです。

「若者ケアラーの年齢層明確化について」

日本ケアラー連盟が「ヤングアダルトケアラー」という名称を使っていく方針を示したのが、2023年2月に発表をした「若者ケアラーの年齢層明確化について」という声明です。

概ね、以下のような内容です。

  • 若者ケアラーは、人数の多い50代のケアラーとは別の課題に直面しているため、「若者ケアラー」という分類分けは必要。
  • ただ、若者ケアラーにおける「18歳~おおむね30歳代」という年代の括りは大雑把。
  • 若者ケアラーのうち、18歳以上~25歳頃については「ヤングアダルトケアラー」という名称を用いる。

「ヤングアダルトケアラー」は、英語では、ご想像の通り、「young adult carer」です。

日本におけるヤングアダルトケアラー

「若者ケアラーの年齢層明確化について」では、「ヤングアダルトケアラー」という名称を用いることを宣言したわけです。

「若者ケアラー」のうち18歳以上から25歳頃についてを「ヤングアダルトケアラー」と位置付けました。

ケアラーの当事者は、こうした、分類分けを嫌う声があるのですが、各年代のケアラーの特徴を把握して、支援につながるために、分類分けは必要と私は考えます。

先ほどの声明には、以下のような説明もありました。

法的に「子ども」と位置付けられる時期、学校を出てすぐの時期、「社会人」としての役割を負うことを意識される時期とでは、個人の思いや支援の仕方が違ってくることも事実です。

上の説明においては、『法的に「子ども」と位置付けられる時期』におけるケアラーは「ヤングケアラー」で、それ以外は「若者ケアラー」となります。

そして、「若者ケアラー」のうち、「学校を出てすぐの時期」におけるケアラーが「ヤングアダルトケアラー」ということになったのです。

新たな名称が使われても、「ヤングケアラー」「ヤングアダルトケアラー」「若者ケアラー」、「ダブルケアラー」、その他のケアラー、全てにおいて、支援が必要なことは言うまでもありません。

もともとはイギリスで使われていた

起源

この「ヤングアダルトケアラー」という名称は、もともと、イギリスで使われていました(現在も使われています)。

イギリスにおいて、「ヤングアダルトケアラー」は、18歳以上から24歳ぐらいまでのケアラーを指します。

日本において、「ヤングケアラー」など、子どもや若者のケアラー支援の声が強まったのは、最近のことです。

一方で、イギリスでは、「ヤングケアラー」など、子どもや若者のケアラー支援においては先進国です。

イギリスにおいて、ヤングアダルトケアラーは24歳ぐらいまでとされていますが、日本ケアラー連盟においては、25歳ぐらいまでとされています。

ヤングアダルトケアラーの課題

支援をする人と受ける人

「ヤングケアラー」や「ヤングアダルトケアラー」、また、「若者ケアラー」といった、ケアラーを年代によって区別するのは、各世代のケアラーの特徴や課題を明確にして、支援につなげるためです。

そのうち、「ヤングアダルトケアラー」については、前述した通り、学校を出てすぐの時期にあたる人です。

それ故、就職など、将来の進路について決めなければならない、重要な時期となります。

しかし、「ヤングアダルトケアラー」の場合は、「ヤングケアラー」とは異なり、教育機関に属していないということになります。それ故、教育機関を通じた支援が難しいという課題があります。

大学生の場合は教育機関に属しているということにはなりますが、(基本的に)22歳になり、大学を卒業した後は、やはり、教育機関には属さないことになります。

私の実体験を述べましょう。

私は、大学4年生のときまで、母親のケアをしておりましたため、他の学生のように、就職活動をする暇が全くなかったのです。

それ故に、就職活動をすることなく、大学を卒業してしまいました。

母は、他界をしてしまい、結局、その後は、自分の力で何とかなったわけですが、大学を卒業すると、大学(キャリアセンター)から就活に関する支援は得られなくなります。

私のように自分一人で何とかなったらよいのですが、そうならない場合も多いでしょう。

ヤングアダルトケアラーの中には、自分が希望したくても、大学への入学や就職ができない場合が出てきます。

教育機関(学校)には頼ることができない・・・。

そうしたときに、どこに頼ることができるのかということに鑑みると、頼るところがないというわけになるわけです。

ヤングアダルトケアラーの支援は、青年期から成人期への移行期であるということを念頭に、支援方法を考えねばならないのかもしれません・・・。

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