2021年夏まで、大学に所属しながら母親を介護していた元若者(大学生)ケアラーのはしです。大学生活と介護を両立しておりました。
※若者ケアラーは、概ね18歳から30歳までのケアラーのことを指します(ヤングケアラーは、18歳未満のケアラーのこと)。
大学に通いながら介護をするということはどういうことか、また、大学生活と介護は両立できるのかについて、元当事者が述べてまいります。
正直申し上げて、大学生活と介護の両立は難しい場合もありますが、介護の負担を軽減する方策はいくつもありますので、考えていきましょう。
ただし、ここで申し上げる大学生活の主は、勉強・研究の活動(学業)となります。
私の経験則とはなるのですが、介護に従事していたら、サークル活動に打ち込んだり、友達と遊んだりする時間はないと思います。大変恐縮ですが、その点は、割り切る必要があるかと思います(詳細は後述)。
→なお、以下で述べる方法で、介護の負担を軽減でき、サークル活動等にも従事できるかもしれません。私は、サークル活動などに参加したことがないので、深入りはしませんが…。
いかに、大学生の本分である、勉強の質を落とさずに取り組めるのかということを中心に考えていきましょう。
この記事を見てわかることは以下の通り!
- なぜ、介護をしている大学生が存在するのか
- 私が大学生活と介護をいかに両立してきたのか
- 大学生が介護の負担を軽減する方法
「大学生だからといって甘えるな!社会人の私だって介護をしているのだ!!」
こんな意見もあるかもしれません。実際、介護離職も大きな問題となっています。
しかし、一方で、大学生には、社会人が職場で受けられる介護休業等の制度は、当然ながら適用されません。介護がきつかったら、休学ないしは退学ということになるでしょう。
そのため、やはり、大学生に対しても、介護の負担を軽減する方法、そして、大学生の本分である勉強・研究の時間を確保する方法はお示ししておくべきなのです。それゆえに、今般、大学生向けの記事を執筆しています。
大学生が介護、なぜ?
そもそも、なぜ、大学生が介護をせねばならない状況になるのでしょうか。
それは、身内(親や祖父母、兄弟など)が介護を必要とする状況にあるからでしょう。
では、介護は、まだ若い大学生が担うことなのでしょうか。
私は、Noと答えると思います。本来の大学生のあるべき姿は、高等教育機関所属という意識のもと、しっかりと勉学・学業に励むというものだからです。
次に、なぜ、大学生が、介護を担わざるを得ない状況になるのかと申しますと、やはり、本来担うべき親なども介護に費やす時間がないからです。具体的には、
- 親は家計を支えるための仕事で精一杯
- 核家族化などに伴い、身近に頼れる家族・大人がいない
- 同居者全員、何らかの障がいを持っている
といったことなどをあげることができます。
こうしたことから、大学生も介護をする必要性がでてくる場合があるのです。
少し考えてほしいのですが、身近な方が、介護が必要な状態になったら、ご自身はどうしますか。自分は何もしなくても、大丈夫でしょうか。
おそらく、大丈夫ではありません。それゆえに、多くの人にとって、介護は無縁ではないと思います。
私の場合は、高校生の時に、母親が骨肉腫を発症したことが、介護の始まりでした。幸い、頼れる人もいましたが、とはいえ、介護はせざるを得ませんでした。
大学生活への影響ー私の経験をもとに
介護をしていたら、大学生活にどのような影響が及ぶでしょうか。様々なことが考えられますが、私の経験をもとに述べてまいります。
私の場合、とりわけ、3年生、4年生のころに、母親の病気が悪くなって、大学生活に大きな影響がでてきました。また、それ以前も、簡単な介護や家事などを担っておりました。
やはり、介護をやっていると、自分の時間がないのです。
以下、学業・就職活動・課外活動の3つの分野に分けて、大学生活の影響を記していきます。
学業への影響
実は、私の場合、学業への影響は限定的でした。というのも、大学生の本分は学業という信念のもと、できる限り学業へ打ち込めるように努力をしたからです(以下の負担軽減の方法を参照)。
自慢ではありませんが、介護に従事していたにもかかわらず、大学の成績優秀者として何回か表彰されております。
とはいえ、時間が制限されることは言うまでもありません。もっと勉強をしたかったという思いも強く残っています。
繰り返しになりますが、大学生の本分は、何よりも、学業に打ち込むことです。勉強をしなければ、何のために、大学に進学をしたのか、意義を見出しがたくなります。
就職活動への影響
実は、私は、就職活動をやりませんでした。というより、できなかったと言った方が語弊がないかもしれません。
大学生活のなかで、学業を最優先に取り組んだということは上述したとおりです。
そのため、介護もやっていると、就活をする時間がほとんどなかったのです。
ただし、私は、就活ができなかったからといって、決して悲観をしているわけではありません。就職以外の道もありますから。
課外活動への影響
私は、課外活動へは全く参加をしませんでした。参加をする時間がないのです。
当然、私は、サークル活動に参加したことがありませんし、友達もあまりいません。
ただ、私は、内向的な性格で、友達と親密な関係をつくることを好まなかったので、何の問題もありませんでした。
大学の新しい友達をつくりたいという方にとっては、大問題かもしれません。しかし、介護をやっていると、どうしても、課外活動は二の次にせざるを得ません。
ただ、以下で示す、介護の負担を軽減する方法を実践していただくと、課外活動への参加も可能になるかもしれませんので、悲観はしないでください。
大学生活と介護の両立をするために
大学生活(とりわけ、学業)と介護を両立するために、できることをまとめてみました。私の経験をもとに、大きく5つの方法をお示ししています。
高等教育を受けることは、非常に意義があることです。そのため、介護のために、休学、ひいては、退学をすることは避けたいものです。
以下の方法以外にも考えられることは多々ありますが、できるだけ、介護の負担を軽減し、学業にも取り組めるようにしましょう。
頼れる人を探す
皆さまの身の回りに、親戚など頼れる方はいらっしゃらないでしょうか。まずは、頼れる人を探す努力をしましょう。
ただ、1人に全てを頼る必要はないのです。できるだけいろいろな方に声をかけて、少しづつ助けてもらうという方法でもOKです。私の場合は、以下のような感じで、様々な方々に頼っていました。
私の場合は、
- 祖父母に家事をやってもらったり(初期)、
- 親戚に、昼食などで食べられる冷凍のおかずを作ってもらったり、
- 近所の人に、病院の送迎をやってもらったり、
といろいろな方に頼っておりました。
介護保険制度・障害者福祉サービスを活用する
ヘルパーさんに介護をしてもらうと、相当、楽になると思います。しかし、その場合は、介護保険制度や障害者福祉サービスを受給したうえで、利用するのが普通です(所得によって変わりますが、原則1割負担のため)。
上限がありますが、大学の授業の都合などにあわせて、利用することがよいでしょう。担当のケアマネージャーと相談してみてください。
なお、介護保険制度や障害者福祉サービスを利用する場合、手続きが必要になりますので、自治体の福祉関係の部署や主治医と相談してください。
母親は、介護保険制度を活用していました。
近くの大学に通う
できる限り、自宅から近い大学に通うことも考えてください。
自宅から近ければ、移動時間が短いため、それだけ介護に多くの時間を費やせます。また、介護を必要とする人に何かあれば、すぐに家にもどることも可能でしょう。
ただし、家の近くに行きたい大学がないことも少なくありません。また、遠くの大学に進学してから、介護に従事する場合もあるでしょう。そうしたときは、他の方法を検討する必要があります。
私は、自宅(実家)から自転車で20分ほどで行ける大学に通っておりました。
オンライン授業を受ける
新型コロナウイルス感染拡大に伴って、オンライン授業もなされるようになってきました。
オンライン授業で事足りる場合は、自宅でオンライン授業を受けるようにしましょう。オンライン授業であれば、介護を必要とする家族などに何かあっても、すぐに対応することができます。
文科省によると、全授業回数の半分を超えない範囲であれば、オンライン授業が認められるとされていますので、積極的に活用しましょう。
コロナ禍に伴うオンライン授業で、私は救われました。というのも、母親が病状が悪化したときと重なったからです。
休学をする【最終手段】
もし、介護があまりに大変で、上記のような方法をとっても、どうしようもない状態に陥った場合は、最終手段として、休学を検討することになるでしょう。
休学をするに際して、審査がある場合がほとんどですが、介護を理由とした休学ならば、はねられることはほとんどないと思います。
奨学金を受け取っているという方は、奨学金受け取りを休止する手続きも忘れないようにしてください。
なお、退学はおすすめしません。なぜなら、介護の負担が軽減されたあと、大学に行けるようになる可能性があるからです。
【まとめ】大学生活と介護を両立するには
- 頼れる人を探す
- 公的サービスを活用する
- 家から近い大学に通う
- オンライン授業を受講する
- 休学をする(最終手段)
休学以外は、私も、実践してきた方法となります。これらによって、大学生活を介護をうまく両立してまいりました。
以上の方法(+α)で、大学生活と介護の両立を目指してください。
泣き寝入りしないで
誰かに介護のことを話しても、理解してくれない、わかってくれないといった経験をされている方、少なくないと思います。
これは、まだまだ、世間のヤングケアラーや若者ケアラーの認知度が低い証左です。
また、ピアサポートではなく専門的なサポートを求めているという方は、ぜひ、役所・役場の相談窓口をご利用ください。
行政は、縦割りや文書主義で、淡々とただ相談をこなすだけと思われる方もいらっしゃるかと思いますが、様々な制度を利用するときはどうしてもお世話になる必要があります。
いずれにせよ、自分一人で解決をしようとすることは、望ましくありません。泣き寝入りはしないでください。