大学生活の締めくくりとして、多くの人が参加する行事・・・。
それは、卒業式です。
学生生活の集大成として、晴れ着やスーツに身を包み、同級生や教職員と最後の時間を過ごす・・・。
そんなイメージを、私たちは半ば無意識のうちに、当たり前のものとして受け取ってきました。
しかし、その当たり前だと思われている光景に対して、疑問を持つ人もいることでしょう。
実際には、様々な理由で、「卒業式に行かない」「欠席する」という選択をする人は、決して珍しい存在ではありません。
それでも多くの学生が、
- 行かないと後悔するのではないか
- 欠席すると何か不利益があるのでは
- 周囲から浮いてしまうのでは
といった不安を抱えていることは事実といえます。
この迷いの背景には、「卒業式は出席して当然」「行かないのは少数派である」という、根拠のない思い込みが大きく影響しています。
本記事では、そうした思い込みを一度立ち止まって見直しながら、大学の卒業式の欠席について考えていきます。
それでは、詳しく見ていきましょう。
結論|大学の卒業式に行かなくても問題ない!

まず最初に、最も大切な結論をはっきりお伝えします。
大学の卒業式に出席しなくても、卒業そのものに影響は一切ありません。
これは感覚的な話ではなく、制度上・事務上、明確に問題ないと言い切れる事実であります。
具体的には、卒業式を欠席したからといって、次のような不利益を受けることはありません。
- 卒業資格が取り消されることがなければ、卒業反映に影響することもない
大学を卒業できるかどうかは、必要単位をすべて修得しているかなど、客観的な条件のみで判断されますので、卒業式に出ようが出まいが、卒業は既に確定しています。 - 就職先に知られることはない
卒業式は学生本人と大学の間だけの行事であり、社会に出た瞬間、その事実は誰にも関係しなくなります。自分から言わない限り、就職先は卒業式に参加していないことは知る由もありません。 - 学位記(卒業証書)は後日、別の方法で受け取れる
多くの大学の場合、卒業証書は、郵送してくれます。卒業式に行かないからといって、卒業証書がもらえないということは全くありません。
卒業式の出欠と、大学を卒業できるかどうかは完全に無関係なのです。
大学の卒業式に行かない人は意外と多い!割合は?


卒業式に行かない人は少数派なのでは・・・?
そう感じている学生は少なくありません。
しかし、実際には、一定数の欠席者が毎年存在するのが大学の卒業式の現実です。
各種調査によりますと、大学の卒業式の欠席率は1割程度とされています。
つまり、卒業生が1,000人いれば、そのうち100人は欠席しているという計算になります。
この数字を見ると、毎年、一定割合の学生が「行かない」という選択をしているということが読み取れます。
欠席率は大学のタイプによって異なる
卒業式の欠席率は、大学の性質によっても変わります。
大規模大学・マンモス大学の場合は、
- 学部単位・全学合同で式典を行う
- 一人ひとりの存在感が薄い
- 式典が長時間になりやすい
といった特徴がありますので、「わざわざ行かなくてもいい」と考える学生が増えやすく、欠席率もやや高くなります。
一方、小規模大学・学部人数が少ない場合は、
- 教職員との距離が近い
- 知り合いが多い
- 式の雰囲気が比較的アットホーム
といった特徴がありますので、こうした環境では出席率が、相対的に、高くなる傾向があります。
卒業式を欠席する主な理由

大学の卒業式を欠席する理由は、人によってさまざまですが、共通するいくつかの背景があります。
ここでは、実際に多く聞かれる代表的な理由を、下記の通り、もう一歩踏み込んで見ていきます。
- 就職・引っ越し・国家試験などで忙しい
- 式典そのものに価値を感じない
- 人間関係のストレスを避けたい
- 体調が悪い

卒業式を欠席することに、他人が納得する理由は必ずしも必要ありません。ご安心ください。
就職・引っ越し・国家試験などで忙しい
卒業シーズンは、人生の転換期が一気に重なる時期でもあります。
多くの学生が、
- 就職先での研修や入社準備
- 引っ越しや住居探し
- 国家試験・資格試験の直前期
- 内定者課題や事前学習
などに追われています。
特に、地方から都市部へ、あるいはその逆へ移動する場合、卒業式のためだけに往復する交通費や1日がかりになる時間的コストも無視できません。
そのため、「卒業式に出席することで、他の重要な準備が遅れてしまう!今は気持ちよりも現実を優先したい!」と判断する人もいます。
このような理由での欠席は、決して冷たい選択ではなく、社会に出る前の現実的な判断として、ごく自然なものです。
式典そのものに価値を感じない
卒業式に対する価値観は、人によって大きく異なります。
大学生活を、
- 自分なりに淡々と終えたい
- 学業や経験は大切だったが、式典にはこだわらない
- 卒業は人生の通過点の一つにすぎない
と捉えている人にとって、卒業式は「意味のあるイベント」と感じにくいことがあります。
実際の卒業式は、
- 総長・学長による長時間の祝辞
- 学部代表や在学生代表の形式的な答辞
- 名前を呼ばれることなく淡々と進む式次第
- 大勢の中で座って話を聞くだけの時間
が大半を占めることも多く、「参加しても実感が湧かない」「思っていたほど感動しない」と感じる人も少なくありません。
そうした中で、「何時間も拘束されるなら、その時間を別のことに使いたい!自分なりの形で卒業を受け止めたい!」と考え、欠席を合理的な判断として選ぶケースもあります。
卒業式に価値を感じないからといって、大学生活そのものを軽視しているわけではありません。
「何を大切にするか」の違いに過ぎないのです。
人間関係のストレスを避けたい
ゼミ・サークル・学科など、大学生活の中で人間関係に悩んできた人にとって、卒業式は「集大成の場」であると同時に、最後にもう一度その関係性と向き合わされる場でもあります。
卒業式当日は、
- 久しぶりに顔を合わせる気まずさ
- 「久しぶり」「これからどうするの?」といった会話への対応
- 写真撮影や集合を求められるプレッシャー
- 表向きは明るく振る舞わなければならない空気
- 内心のモヤモヤを隠して笑顔を作る疲労
といった負担が一気に押し寄せがちです。
特に、ゼミや研究室で孤立していた人や人間関係のトラブルを経験した人などにとって、卒業式は「感動的なイベント」ではなく、精神的に消耗する一日になりやすいのが現実です。
「せっかくの卒業なのだから、最後くらい我慢すべきだ」と考える人もいますが、一方で、「これ以上、無理をしてまで合わせる必要はない!大学生活はもう十分に頑張った!」と考え、欠席を選ぶ人も多くいます。
これは逃げではなく、自分を守るための選択であり、問題はありません。
体調不良が悪い
大学の卒業式を欠席する理由として、「体調が悪いから」という判断はもっとも自然で、何の問題もありません。
卒業式は任意参加の行事であり、体調不良を押してまで出席する義務はありません。
卒業式当日は、早朝からの準備や移動、慣れないスーツや袴の着用、長時間の着席、大規模な人混みなど、想像以上に体への負担がかかります。
発熱や頭痛、倦怠感がある状態で参加すると、症状が悪化したり、その後の新生活準備に支障が出たりすることもあります。
また、「体調不良」には身体的な不調だけでなく、強い不安感や気力の低下といったメンタル面の不調も含まれます。
人混みや非日常的な雰囲気が大きな負担になる場合、無理をしない判断はむしろ適切です。
欠席理由として誰かに伝える必要がある場合でも、「体調があまり良くなくて」「無理をしないことにしました」といった簡単な説明で十分です。詳しい事情を話す必要はありません。
卒業式は人生の節目ではありますが、何より優先すべきは自分の体調です。
体調が悪いから欠席するという選択は、甘えでも逃げでもなく、これから始まる新生活を見据えた現実的で誠実な判断と言えるでしょう。
卒業式を欠席するメリット

大学の卒業式は華やかな行事である一方、人によっては負担が大きいイベントでもあります。
欠席を選ぶことで得られるメリットは、下記の通り、多くあります。
- 心身の負担がない
- お金がかからない
- 自分のペースで卒業を実感できる
詳細について見ていきましょう。
心身の負担がない
卒業式を欠席する最大のメリットは、心身への負担を大きく減らせることです。
前述した通り、卒業式当日は、早朝からの準備や移動、慣れないスーツや袴の着用、長時間の着席、大規模な人混みなど、が一気に重なります。
そのため、特に、人混みが苦手な人や形式的な場が緊張する人、久しぶりの人付き合いに不安がある人にとっては、卒業式そのものが大きなストレス要因になりがちです。
一方で、欠席を選べば、
- 朝は普段どおり、もしくはゆっくり過ごせる
- 服装や身だしなみに神経を使わなくてよい
- 無理に人と合わせる必要がない
など、精神的な解放感を得ることができます。
「卒業=疲れる一日」にならず、穏やかな気持ちで区切りを迎えられる点は、大きなメリットといえるでしょう。
お金がかからない
卒業式は、想像以上に出費がかさむ行事でもあります。
例えば、
- 袴レンタル代
- 着付け・ヘアセット代
- 交通費や移動費
- 写真撮影費用
などが必要になることも少なくありません。
一方で、卒業式を欠席すれば、こうした費用はすべて不要になります。
浮いたお金を、引っ越し費用や社会人生活に向けた準備などに回すこともできます。
自分のペースで卒業を実感できる
卒業式に出席しなくても、卒業そのものが軽くなるわけではありません。
むしろ、人の多い会場で流れるように終わる卒業式よりも、静かな時間の中で、自分なりに大学生活を振り返る方が、しっかりと区切りを感じられる人もいます。
家でゆっくり過ごしたり、家族と食事をしたり、一人で散歩をしたりと、自分のペースで卒業を噛みしめられるのは、欠席だからこそ得られる時間です。
「みんなと同じ形」でなくても、自分が納得できる形で終えられるなら、それは立派な卒業といえるでしょう。
卒業式を欠席するデメリット・注意点

卒業式を欠席しても大きな不利益はありませんが、あらかじめ理解しておいたほうがよい点もあります。
欠席という選択に納得するためにも、下記のような、デメリットや注意点についてもしっかりと確認しておきましょう。
- 一度きりの経験ではある
- 家族が残念がる場合もある(親不孝!?)
- 卒業証書の受け取り方法を確認する必要がある
これらの点は、卒業式を欠席すること自体を否定するものではありません。
ただ、事前に知っておくことで、「知らなかった」という後悔や手続き上のトラブルを防ぐことができます。
デメリットを理解したうえで選んだ欠席であれば、その判断に自信を持ってよいでしょう。
各項目について、詳しく見ていきましょう。
一度きりの経験ではある
大学の卒業式は、人生の中で何度も経験するものではありません。
そのため、欠席した場合に、
- 「やはり一度くらいは出ておけばよかったかもしれない」
- 「あの場の雰囲気を体験してみたかった」
と、後から少しだけ心に引っかかる可能性はあります。
また、式典に出席しない場合、集合写真や式当日の記録写真など、形として残る思い出が少なくなる点も事実です。
ただし、これらは、必ず後悔するというほどのものではなく、性格や価値観によって受け止め方は大きく異なります。
事前に「自分は式典そのものにどれほど価値を感じているか」を考えておくことで、後悔の可能性はかなり減らせます。
後悔しないための判断ポイント
卒業式を欠席するか迷っている人は、次の問いを自分に投げかけてみてください。
- 行ったら、「楽しい」より「疲れる」が勝ちそうか
- 誰かに無理して合わせる必要があるか
- 欠席した場合、数年後に強く後悔しそうか
「行かない方が自分らしい」と思えるなら、その判断は間違っていません。
家族が残念がる場合もある(親不孝!?)
本人は卒業式に強い関心がなくても、家族、特に親にとっては「子どもの節目の姿」を楽しみにしている場合があります。
- 晴れ姿を一度見てみたかった
- 写真を残したいと思っていた
といった気持ちを抱いているケースも珍しくありません。
この点については、無理に出席する必要はありませんが、事前に「体調や事情を考えて行かないことにした」と一言伝えておくだけで、誤解や落胆を和らげることができます。
場合によっては、後日あらためて写真を撮る、食事の機会を設けるなど、別の形で区切りを共有する方法もあります。
卒業証書の受け取り方法を確認する必要がある
卒業式を欠席する場合、忘れてはならないのが卒業証書(学位記)の受け取り方法です。
多くの大学では郵送対応してくれることが多いですが、場合によっては窓口での受け取りが必要な場合もあります。
また、事前申請が必要な場合もあります。
式に出席しないからといって、卒業証書が自動的に自宅へ届くとは限りません。
欠席を決めた時点で、大学からの案内や学務課などの担当部署からの情報を必ず確認しておくことが重要です。
まとめ|卒業式は「行ってもいいし、行かなくてもいい」
大学の卒業式は、学生生活の節目として用意された大切な行事ですが、必ずしも全員が同じ形で参加しなければならないものではありません。
出席するかどうかは義務ではなく、あくまで個人の判断に委ねられています。
実際には、毎年一定数の学生が卒業式を欠席しています。
その理由は、忙しさや人間関係など、様々ですが、いずれも不自然なものではありません。
卒業式に出席しなくても、単位を修得し、卒業要件を満たしていれば、大学を卒業した事実は何も変わらないのです。
大切なのは、「みんなが行くから」「行かないと後悔しそうだから」といった周囲の空気だけで判断するのではなく、自分自身が納得できるかどうかです。
無理をして出席してつらい思いをするよりも、自分の体調や気持ちを優先することは、決して消極的な選択ではありません。
卒業の迎え方に正解はありません。華やかな式典で区切りをつける人もいれば、静かに自分のペースで学生生活を終える人もいます。
どの形であっても、自分なりに大学生活を振り返り、次の一歩へ進めるのであれば、それは立派な「卒業」といえるでしょう。
