「自動車免許をとったし、大学へ車通学をしたいなあ」
このように考える大学生は少なくありません。大学卒業までに自動車免許をとる大学生は多いので、その気持ちもわからないわけではありません。
実際に、国公立・私立を問わず、車通学を認めている大学も存在します。
例えば、私が通っていた私立大学は車通学は禁止されていましたが、私の弟が通っている国立大学は車通学可能です。
しかしながら、車通学を禁止している大学もあります。むしろ、車通学を禁止している大学の方が多数派です。
そうした大学に通学をする方法は、公共交通機関や自転車、徒歩などとなります。
では、なぜ、車通学を禁止している大学が多いのでしょうか?詳しく述べていきます。
また、
車通学を禁じられているが、大学にバレなければ、車通学は問題ないだろう。こそっと、車通学をやろうかな!
と考える大学生もいらっしゃることでしょう。
しかしながら、仮に、大学に車通学をしていることがバレてしまうと、処分を受けることは間違いありません。
大学に通っている以上は、当該大学のルールを守ることは、大人として当然のことです。大学のルールは、必ず守るようにしましょう。
では、詳しく見てまいりましょう。
車通学を禁止している大学は多い
大学生の中には、自動車免許を取得した人もいるでしょうし、これから自動車免許を取得するために教習所に通おうとする人もいることでしょう。
しかしながら、ほとんどの大学では、車通学を禁止しています。
仮に免許を取得しても、車で通学をするということは難しいということとなります・・・。
そうした大学では、公共交通機関の通学が推奨されています。
一方で、少数ながら、車通学を認めている大学もありますし、条件を満たした場合に限り車通学を認めている大学もあります。
車通学を認めているか、認めていないかは、大学が公表をしていますので、各大学のホームページをご確認ください。
なお、自転車はもちろん、バイクの通学についても認めている大学は多くありますので、同じく、大学ホームページ等でご確認ください。
ホームページに公表されていない場合は、大学の学生生活に関する部署に問い合わせるのがよいでしょう。
なぜ、車通学を禁止しているのか
では、なぜ、多くの大学では、学生の車通学を禁止しているのでしょうか。
考えられる理由は、次の通りです。
詳しく見ていきます。
学生の車まで収容できるスペースがない
最初に、スペースに関する問題です。敷地内に、学生の車まで止められるスペースがないという大学が多くあります。
とりわけ、学生数の多いいわゆる”マンモス大学”や都心部など敷地が狭い場所に位置する大学では、駐車場のスペース確保が難しいことは容易に想像できます。
ほとんどの大学においては、教職員の車通勤や取引先等の車での入校を認めていますが、大学にとっては、それ以上の駐車スペースを確保できないのです。
※教職員の車通勤は事前申請、取引先等の車での入校は当日受付をして、許可されるという大学もあります。
こうした事情から、多くの大学では、学生の車通学が禁止されているということとなります。
逆に言うと、比較的、広い敷地を有する地方大学では、学生の車通学を認めているところもあります。
地域住民に迷惑をかけることとなる
車通学は、地域住民に迷惑をかけることから、禁じられているということもあります。
例えば、具体的には、
- 周辺道路の渋滞が悪化する
- 騒音や排気ガスによって、周辺の住環境が悪化する
- 周辺施設などで不正駐車が増える
といったことで、地域住民に迷惑をかけるおそれがあります。
地域住民の中には、大学について迷惑施設と考えている人もいます。学生の行動について、大学にクレームを入れる地域住民も少なくありません。
そのため、大学側としては、地域住民との対立を避けるためにも、可能な限り、地域に迷惑をかけることは避けたいのです。
そうしたことを考慮して、車通学を禁止しているという見方もできます。
大学を円滑に運営するためにも、大学と地域との関係は、極めて重要になります。大学にとっては、学生が地域に迷惑をかけるリスクを無くしておきたいと考えているのが実情です。
学生は事故を起こしやすい
学生は事故を起こしやすいとの指摘もあります。しかしながら、学生は事故を起こしやすいということは本当なのでしょうか。
そこで、警察庁が発表している「交通事故発生状況」を見て確認しましょう。年齢別・10万人当たりの交通事故件数を見ると、圧倒的に、若者が事故を起こしやすいという傾向を確認できました。
10万人当たりの交通事故件数について、例えば、16~19歳は1025.3件、20~24歳は589.5件、一方、85歳以上は519.9件となっています。
大学生にあたる16~19歳、及び、20~24歳は、85歳以上よりも事故を起こしやすいということになります。
したがって、学生は、相対的に交通事故を起こしやすいのです。
学生が通学中に交通事故を起こしますと、前述した通り、地域住民に迷惑をかけることとなります。
さらに、重大事故が発生して、容疑者の大学名が報道されると、大学のイメージを下げることにつながりかねません。
大学は、通学中の事故は自己責任という立場をとっていたとしても、仮に学生が交通事故を起こすと、大学の指導責任は免れないでしょう。
そんなことを避けるためにも、やはり、学生の車通学を禁止するということが、大学にとって合理的なのです。
公共交通機関だけで十分に通学できる
最後に、公共交通機関だけで通学できるから、あえて、車通学を認める必要性がないという大学も少なくありません。
大学が鉄道駅から近かったり、鉄道駅から多くのバス便が設定されていたりする大学は、車通学を認めていないことが多いです。
一人一人が各々の車で通学するよりも、大量の人を乗せることのできる公共交通機関の方が、輸送効率がよいといえます。環境にも優しいです。
今の大学は、サステイナビリティを推進しないといけませんが、公共交通機関の利用推進は、まさに、それに当てはまります。
公共交通機関があるならば、車通学をあえて認める必要性はないのです。
逆に、公共交通機関の利便性が悪い場所に位置する大学では、車通学を認めている場合もあります。
大学以外の駐車場の利用、送迎について
大学の車通学について禁止されているということを前述してきましたが、それでは、
- 大学付近の駐車場を利用するのは問題ないのか
- 送迎は問題ないのか
ということについて述べていきます。
この2点についても、車通学と言って然るべきですが、果たしてどうなのでしょうか。詳しく、見てまいります。
大学付近の駐車場を利用するのは問題ない?
大学構内への車での入校は確かにダメだけど、周辺のコインパーキングなどに駐車して、大学まで歩くことは問題ないだろう!
と考える、大学生もいらっしゃるかと思います。
しかし、多くの大学では、大学付近のコインパーキング等の駐車場を使って、通学することも禁じています。
学生の車を大学付近の駐車場に止めることを認めてしまうと、結局、多くの学生が車を使っての通学を行うことが想像されます。
そうしますと、結局、周辺道路の渋滞が悪化し、地域住民に迷惑をかけることになります。
繰り返しになりますが、大学としては、地域住民に迷惑をかけることは、何としても避けたいと考えています。
そのため、車通学自体を禁止しているのです。
ただし、これについては、さすがに、大学職員の目は届かないだろうと考える学生もいるでしょう(バレなければOK)。
しかし、ひとまず、バレてしまうと、処罰は免れませんので、くれぐれもご注意ください。
そもそも、大学生自身が、地域住民の思いをくみ取り、地域に迷惑をかけないようにすることが大切です。
既に、大学生は、大人なのですから、それくらいの分別はつくでしょう・・・。
送迎は問題ない?
一方で、送迎はどうでしょうか。
送迎については、問題ないという立場をとっている大学が多いです。受付をすれば、大学構内に入校できることが多いです。
ただし、車を運転している人が、当該大学の学生であれば、車通学として問題視されることとなります。
また、他校の大学生や同年代の友人・知人が運転をしているということも、イメージとしてはあまりよろしくありません。
したがって、大学の友達ではなく、親や親せきなどに送迎をしてもらうようにしましょう。
もしも車通学をしていることがバレたら・・・
当記事をここまで読んだ方の中には、
大学の車通学が禁止されていることはわかったが、バレないようにして、車通学をしよう
と考えている人もいらっしゃるかもしれません。
しかし、そうしたことは、「車通学禁止」という大学の規定に違反することとなりますので、大学側にバレると、当然ながら、処分されることとなります。
多くの大学において、学生の処分の種類は、重い順に、次の3つとなります。
- 退学
- 停学
- 訓告
なお、訓告とは、大学の規律違反を行った学生に対して、文書、もしくは、口頭で厳重注意するという内容の処分です。
大学によっては、訓告ではなく、戒告としているところもあります。
退学か、停学か、訓告かは、違反行為の重大度の他、大学の事実確認や証拠の確認、また、本人が反省しているかなどをもとに、総合的に決定されます。
多くの場合、学生生活等の部署で処分内容について検討された後、上層部によって構成される懲戒委員会で処分内容が決定されます。
「車通学禁止」に違反をした場合の処分内容については、個別具体的に判断されますが、一例をあげておきましょう。
- 車通学が禁止されている大学へ、車通学を試み、その道中で死亡事故を起こし、無断で車通学をしていることが発覚。
→事の重大さに鑑み、退学処分になる可能性が極めて高い。 - 一度、車通学をして訓告処分を受けているにもかかわらず、再び、車通学をした。
→訓告の一つ上の停学処分となる可能性を否定できない。 - 車通学が禁止されていることを知らず、誤って、車通学をしてしまった。車通学をしてしまったことを反省。
→訓告処分にとどまる可能性がある。
車通学がバレてしまうと、処分内容がいずれにせよ、重い制裁が下されるということとなります。学生生活にとって大きな痛手となります。
車通学が禁止されている大学へ「バレないように車通学をする」のではなく、「車通学をしない」ことを徹底しましょう。
車通学を認めている大学もある
一方で、国公立、私立を問わず、車通学を認めている大学もあります。ただし、車通学を認めている大学は、かなり少数です。
例えば、公共交通機関の利便性が悪い場所に位置する大学や駐車スペースを広く確保できる大学などは、車通学を認めている場合もあります。
なお、そうした大学でも、事前申請と交通安全講習会の受講が必要となっている場合がほとんどです。
また、
- 大学から一定以上の距離の場所に自宅がある
- 障害など、合理的配慮が必要である
など、大学側が定めた条件に合う場合のみ、車通学を認めるということもあります。
大学によって対応が異なりますので、詳細は、大学へご確認ください。
最後に
いかがでしたでしょうか。最後にまとめです。
大学の車通学については、一部を除いて、多くの大学では禁止されている。
理由としては、
・学生の車まで収容できるスペースがない
・地域住民に迷惑をかけることになる
・学生は事故を起こしやすい
・公共交通機関だけで十分に通学できる
といったことを挙げることができます。
車通学を禁止されている大学で、車通学をしたことが大学側にバレてしまうと、事の重大度に応じて、「退学・停学・訓告」のいずれかの処分が下されます。
「バレずに車通学をする」のではなく「車通学をしない」ことを徹底しましょう。
車通学が禁止されている大学に通っている学生は、車を通学目的ではなく、行楽目的などで使うようにしましょう。