生死・その他

がん患者の家族は、「第2の患者」。学生の私が経験をしたこと

2022年2月21日

母親は、骨のがん・骨肉腫を患っていました。不幸なことに若くして他界をしました。

がん患者であった母を見ていると、本当に大変そうでした。

一方で、がん患者の家族(がん家族)は、「第2の患者」といわれることがあります

がん患者の家族のことを、がん家族という場合があります。



確かに、「第1の患者」であるがん患者本人が最も苦しいことは言わずもがなです。

しかし、がん患者を支える家族も、苦悩を抱えていることもあります。

それ故に、がん家族が「第2の患者」といわれるのです。

私の場合は、自分が高校生1年のときに母ががんであることが発覚し、大学4年生のときに他界しました。

若くしてがん家族の一員となった、私の経験も記していきます。

この記事を見てわかること

  • がん患者における「第二の患者」とは?
  • がん患者の家族(がん家族)が抱える苦しみとは?
  • 学生時代にがん家族の一員となった私の経験

今や、2人に1人ががんにかかる時代。少しでも参考にしていただけると幸いです。

「第2の患者」の意味

がん患者とがん家族

がん患者の家族は、がん患者本人と同等、もしくは、それ以上の、苦悩やストレスに見舞われることがあることから、「第2の患者」といわれることがあります

もちろん、がん患者本人が、治療などで苦しんでいることは言うまでもありません。

とても苦しい抗がん剤治療、移転するたびになされた手術、がん治療に伴う障害による行動の制約、末期に起こった体調の変化、私の母親の姿をみるたびに、苦しそうでした。



しかし、がん患者本人が最も苦しいのだから、支える側である家族は「しっかりしなきゃ」と思っていないでしょうか。

実は、こうした思いこそが、がん患者を支える家族を、より苦しくさせているのです。追い込んでいるのです。

当然、がん家族も、がん患者を支えるうえで、様々な苦悩やストレスを抱いています

がん家族は、「第2の患者」なのです。家族も苦しい思いをしていることは、特異なことでは決してありません。

場合によっては、がん家族もケアを必要とします。

具体的に、「第2の患者」である理由を述べていきます。

「第2の患者」である具体的な事柄

孤立をしている女性

では、具体的に、がん家族は「第2の患者」である理由を、私の経験も織り込んで、述べていきます。

家族の誰かが「がん」と診断されたときの衝撃

まず、家族の誰かが「がん」と診断されたとき、家族は大きなショックを受けることでしょう。

私の場合も、そうでした。

まさか、40代の親が、がんにかかるなんて、全く思っていなかったので、とてもショックでした。

がんは治らないという考えが、当時、あったので、暗い未来しか描けませんでした(現在は、がんが治る時代になりつつあります)。



同時に、様々な、重荷が降りかかってきます。例えば、

  • 治療費、介護、自分の仕事はどうしようか
  • がん患者本人をどう励ましたらよいのか
  • これまで通りの生活を送れるのか
  • がんは、どの程度進行していくのか



といったことを、考えざるをえません。

そうこうしているうちに、自分のことは後回しになり、追い込まれていく可能性もあります。

我が家の場合は、当時、まだ、小学生の弟がいたので、彼に、がんについてどのように伝えたらよいのか、両親が困っていました。

生活習慣の大きな変化

がんであることが発覚すると、がん患者は、早速、治療を受けることになるでしょう。

そうしますと、がん家族の生活習慣が大きく変わることでしょう。

例えば、多くの家事を担っていた人ががんになると、治療によって家事はできなくなるかもしれません。

また、そうでなくても、通院や入院に付き合うということもあるため、生活習慣が変わっていくことになるでしょう。

当然、介護を要することもあります。

仕事に影響を及ぼす可能性も十分に考えられます。

我が家の場合、家事の多くを担っていた母が骨肉腫になり、発症後、少なくとも1年間は、長期の入院ととてつもなく苦しい日帰りの抗がん剤治療をしていました。

母が家事を担うということは、到底不可能となり、私と父に加えて、近くに住んでいた祖父母が家事を行いました。

私が家事に慣れるまでは、祖父母にも迷惑をおかけしてしまいました。

その後も、治療によって残った障害や転移にともなう治療によって、母は十分に体を動かすことができませんでした。

母ががんになり、私(当時、高校生・大学生)や父の生活習慣は大きく変わりました。

治療に苦しむ姿に傷心

がん患者が、苦しい治療をしているのを見て、がん家族も苦しい思いをすることは当然です。

抗がん剤、放射線、手術、、、がん治療は大変です。

がん患者の苦しんでいる姿を見て、どのような言葉をかけたらよいのかということも困惑するでしょう。

がん治療で苦しんでいるのは、がん患者。

しかし、がん治療の苦しさを知らないがん家族が、不用意に言葉をかけてしまうと、むしろ、がん患者を傷つけてしまうのではないかという考えもよぎるでしょう。

私の母の場合、何度も転移をしていて、そのたびに苦しい治療をしていました。とりわけ、他界する数か月前からは、苦しい治療をしても、十分に効果がでないということがありました。その姿を見ていて、私も苦しかったです。

明るくない未来への不安

仮にがんが治療によってなくなったとしても、再発や移転の可能性もあります。

がん患者のみならず、がん家族も、再発や移転の不安と戦っていかねばなりません

明るい将来を描けなくなるかもしれません

また、余命宣告をされると、がん家族の先は真っ暗です。

せっかく治療を頑張ってもらったのに、という後悔の念にもかられるでしょう。

余命宣告を受け入れるのが難しいかもしれません。

母ががんになり、私も、様々な苦労がありましたが、最もつらかったのは、余命宣告されたということを母に聞かされたときでした。

がん患者の他界後の深い悲しみ

そして、がん患者が亡くなってしまうと、その家族は、深い悲しみで、打ちひしがれるでしょう。

我が家の場合は、特に、母方の祖母と父において、心理的な影響が大きかったです。

なお、これは、がん患者のみならず、他の病や事故で家族の誰かが亡くなっても、同じ気持ちとなるでしょう。

他界した人を思い、急に、悲しみがこみあげてくることもあるかと思います。

当然の反応だと思いますので、焦らないでください。

がん家族へのケアも必要

以上、がん家族が「第2の患者」である理由を述べてきました。

がん患者のみならず、がん患者も、大きな苦悩やストレスを抱いています。

したがって、がん家族のケアも重要です

ケアといっても、セルフケアと、専門的なケアがあります。

まずは、セルフケアです。

がん患者のことを考えすぎるあまり、自分のことを置き去りにしているかもしれません

肩の力を抜いて、リラックスをしてみてください

また、がん相談支援センターなどに相談をしてみるのもありです。

自分ではどうしようもないときは、専門医からケアを受けるということも選択肢の一つです。

まとめ:家族もつらいです

がん患者は、当然ながら、つらい思いをしていますが、がん家族もつらい思いを抱いています。

がん患者が最もつらいのだから、がんばりなさい」といった言葉は、がん家族を追い込むことにつながりかねません。

がん家族は、がん患者の支援をする側に立っていますが、同時に、支援が必要なこともあります。

がん家族もつらい思いをしているということを知っていただければ、元がん家族の一員であった私にとっても、この上ない喜びです。

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