高校を卒業して晴れて大学生になると、生活環境は一変します。親元を離れて一人暮らしを始める人もいれば、地元の大学に通う人もいます。
いずれにせよ、時間の使い方や人間関係において、高校時代とは比べ物にならないほどの自由が与えられます。
その中でも、「お酒」との関わりは、大学生活の中で避けて通れないトピックの一つです。
とりわけ、入学してすぐの春、新歓期には、多くの大学1年生がサークルや部活動の新入生歓迎コンパ(通称「新歓コンパ」)に誘われます。
中には、

とりあえず飲んでみる?

大丈夫、みんな飲んでるから
などと言われて、戸惑いながらもグラスを手に取る新入生もいます。
しかし、大学1年生の多くは18歳か19歳であり、法律的には未成年です。日本では、未成年者の飲酒は法律で禁止されています。
※大学2年生でも、未成年であれば、飲酒はNGです。
「お祝いの席だし」「先輩に勧められたから」「SNSに写真あげなきゃバレないでしょ」と軽く考えてしまうと、大きな代償を払うことになりかねません。
そこで、この記事は、大学1年生と「未成年飲酒」というテーマについて、法的リスク、健康影響、社会的信用など、様々な角度から解説します。
この記事を見てわかること
- 未成年飲酒の罰則について
- 未成年飲酒の危険性や代償について
- 未成年飲酒がバレたらどうなるか など
それでは、詳細に述べてまいります。
未成年飲酒の基本

日本でお酒を飲むことのできる年齢は、法律で20歳以上と定められています。
これは明治時代から制定されてきた「未成年者飲酒禁止法」に基づくもので、現在も有効な法律です。
2022年に民法上の「成人年齢」は18歳に引き下げられましたが、飲酒や喫煙、公営ギャンブルなどは「20歳以上」という制限が変わらず維持されています。
したがって、未成年の飲酒は法律違反であり、提供・販売・制止しない大人には罰則が科されます。未成年者を守るためにも、正しい理解と行動が求められています。
健康面から見る未成年飲酒の危険性

ここまで読んで、

未成年者は、飲酒をしても罰則はないから、飲酒をしても問題ないだろう。
と考えた方、いらっしゃるかもしれません。しかし、その考えは非常に危険です。
まずは、健康面から、未成年飲酒の危険性を述べていきます。
未成年は身体がまだ成長過程にあります。
肝臓、脳、内臓、神経系すべてが「発展途上」であり、下記のように、アルコールの影響を大人以上に強く受けてしまいます。
- 肝臓機能が未発達:分解しきれず急性アルコール中毒を引き起こす
- 脳が萎縮するリスク:記憶力・集中力の低下
- ホルモンバランスの乱れ:将来的な依存リスクや情緒不安定
また、アメリカ国立薬物乱用研究所(NIDA)の調査によりますと、「初めての飲酒したときの年齢が早ければ早いほどアルコール依存症になる確率が高まる」ことが明らかになっています。
例えば、
- 初飲酒が21歳以上 → 依存症率:約4%
- 初飲酒が18歳以下 → 依存症率:約16〜20%
といった具合になっています。
つまり、未成年で飲み始めることが、その後の人生における「依存症リスク」を倍増させるということになります。
未成年飲酒は非常に危険です。絶対にやめましょう。
大学1年生の飲酒の実態

未成年飲酒に関する研究やデータはいくつかありますが、いくつか見ていく中で、概ね、
大学1年生の45〜55%が「飲酒経験あり」
という傾向がみられました。大学1年生の大半は未成年ですので、概ね、半数の大学生1年生が未成年飲酒をしたことがあるというのです。
一見すると驚く数字ですが、現実には、未成年飲酒は「文化」として温存されている側面もあるといえます。
飲み会の場では、「空気を読め」「一杯だけでも」「乾杯だけでも」といった“ソフト強要”が蔓延しています。
特に以下のような場面でそれは顕著です。
- サークルの「新歓コンパ」
- ゼミの打ち上げ
- アルバイト先の歓迎会
- 学園祭終了後の打ち上げ など
断りづらい空気、飲まないと仲間に入れてもらえないという恐怖、先輩との人間関係・・・、こうした心理的圧力が、未成年飲酒の温床となっています。
バレたらどうなる?ペナルティーは?

それでは、未成年飲酒がバレたらどうなるのか・・・。見ていきます。
前述しました通り、未成年飲酒は、法律によって禁止されていますが、罰則はありません。
したがって、警察にバレた場合は、補導という扱いになります。
また、併せて、大学にバレた場合も見ていきます。
警察に補導された場合
実際に未成年が飲酒しているところを警察に見つかると、「補導」という扱いになります。
補導は刑事罰ではありませんが、大学の学生生活担当や保護者への連絡が行われることがあります。
一方で、酒提供者が成人だった場合、その人が「勧めた」として書類送検されることもあります。
また、店での飲酒だった場合、店舗が営業停止や罰金を受けることもあります。
大学の処分
多くの大学では、学則に「未成年飲酒禁止」「学内における酒類提供禁止」といった規定が存在します。
違反した場合は、当然ながら、処分されることになります。
多くの大学において、学生の処分の種類は、重い順に、次の3つとなります。
- 退学
- 停学
- 訓告(戒告)
なお、訓告(戒告)とは、大学の規律違反を行った学生に対して、文書、もしくは、口頭で厳重注意するという内容の処分です。
退学か、停学か、訓告かは、違反行為の重大度の他、大学の事実確認や証拠の確認、また、本人が反省しているかなどをもとに、総合的に決定されます。
多くの場合、学生生活等の部署で処分内容について検討された後、上層部によって構成される懲戒委員会で処分内容が決定されます。
また、サークルなどの団体として処分されることもあります。
実際、ある関西の有名私大では、新歓コンパで未成年者に飲酒をさせたサークルが無期限活動停止処分を受けた事例もあります。
断る勇気と飲ませない責任

繰り返しになりますが、未成年飲酒は、禁止されています。
未成年の大学1年生は断ること、周囲の大人は未成年者に飲ませないことを徹底する必要があります。
断ってもいい、むしろ断るべき
未成年が飲酒の誘いを受けたとき、「嫌われるのではないか」「浮くのではないか」と不安になるのは自然なことです。
しかし、法律・健康・将来のリスクを考えれば、毅然と「飲みません」と断るべきです。
断ることは「悪」ではなく、むしろ「正しい自己防衛」です。
断り文句集
以下、角が立たず、空気も壊さず、毅然と断ることのできる例です。参考にしてください。
- 「まだ未成年なので飲めません。ごめんなさい」
- 「体質的にお酒が合わないんです」
- 「今日は車で来てるので」
- 「部活(バイト)の大会(仕事)が近くて体調管理中です」
関連記事「【大学生】ゼミやサークルの飲み会が嫌い、行きたくない!断り方とは?実体験をもとに解説」(内部リンク)
先輩・大人の責任
未成年に酒を飲ませる行為は、先輩や大人の責任です。
「ノリ」「伝統」「親しみ」などの名目で飲ませる行為は、法律違反であり、教育的にも完全にアウトです。
また、前述した通り、未成年飲酒において、「飲んだ側」よりも厳しく問われるのが「飲ませた側」(先輩や大人)です。
法律的にも、提供者は刑事罰や営業停止の対象となり得ますので、未成年者には飲酒は絶対に勧めないでください。
まとめ
未成年飲酒(大学1年生の飲酒)は、たとえその場が楽しくても、下記のように、後から大きな代償を払うことになる行為です。
- 健康を損なう
- 将来の信用を失う
- 就職に悪影響
- 大学での処分
これらを防ぐために、「飲まない」という選択は決して自身が弱いということにはなりません。
むしろ、自己管理能力があり、ルールを守ることのできる人として信頼される力になります。
大学生活は、自由と選択の連続です。その中で、自分の未来を考えて行動することは、「賢い大学生」である証です。
「周りが飲んでいるから」と流されるのではなく、「自分の意思で飲まない」と選択できる人は、社会に出ても信頼される人間になれるのです。
大学1年生などの未成年者の飲酒は法律違反です。絶対にやめてください。